記事内にAmazonアソシエイトを含むアフィリエイト広告を掲載している場合があります

インスタグラムでマルチ商法の勧誘に乗ってみた

先日、インスタグラムで“美容プロモーション事業”なるマルチ商法の勧誘を受けた。zoomを使ってまで詳しい話を聞いたので、みなさまにシェアしたいと思う。

インスタグラムに突然届いた1通のDM

私のインスタアカウントには、お気に入りの服や化粧がうまくいったときの目元の写真を載せている。フォロワー数は70人程度で、インスタグラマーとは程遠い。

そんなアカウントに、ある日突然1通のDMが届いた。

私は美容プロモーションの仕事をしている者です。

新製品のプロモーションを一緒に行っていただける方をヘッドハンティングしています。

送り主は女性で、自分のことを“人事担当”だと言っていた。

返信前にその女性のアカウントを覗いてみると、ありがちな高級バッグや高級グルメなどの写真は一切なかった。

投稿内容は“普通の女の子の日常”という感じだったため、ひとまずどんな仕事なのか聞いてみることにした。

なかなか仕事内容を教えてくれない人事担当

仕事内容についてはLINEで電話できる人にだけ教える、ということで、私たちのやりとりの場はLINEに移った。

やっと仕事の話が聞けるのかと思ったら、世間話はすれど一向に仕事の話にはならない。

痺れを切らして「仕事って、具体的にどんなことをするんです?」と尋ねると、「私は人事担当で、詳しい話は“他の方”がするので、今度zoomで3人でお話ししましょう」と言う。

私はここでかなり違和感を覚えた。人事担当ということは会社のはずなのに、身内を“他の方”と呼ぶからだ。

この時点で怪しい副業の紹介かと思いはした。だけどもしかしたら真っ当な仕事かもしれない。もし真っ当でなかったとしても話の種にはなる。そう思った私は、zoomで話を聞くことにした。

いきなり資産形成の話をする男

予定を合わせ、「“人事担当”の女性」「“他の方”と呼ばれる謎の男」とzoomで話すことになった。

女性が言っていた“他の方”は30代半ばの男。高級そうなスーツを着て画面に現れ、「よろしくお願いします~」とフランクな挨拶を交わした。

その後に男の自己紹介が続くものだと思っていた。仕事を持ち掛けてきた側なのだから、それが自然だろう。しかし自己紹介は一切なく、女性が私の情報をその男に話すところからスタートした。

モヤモヤしながらも、私の家族構成ややっている仕事について、聞かれるがままに話した。さぁ、そろそろ男の自己紹介を聞けるかな?と思いきや……いきなり資産形成の話を始めるではないか。

収入には「権利収入」と「労働収入」があります。

「労働収入」は働いた分だけしかお金をもらえないけど、「権利収入」なら何もしなくても自動的にお金が入ってくるからいいですよね!

私は何の話を聞くためにzoomを繋いでいるのか一瞬わからなくなった。

金の話はまだ続く。

勝手にお金が入ってくるから、高級外車持ってるしタクシー乗り放題だし、海外旅行もしまくってます!最高ですよ!

彼なりの最大級の自慢話で「このビジネスを始めたことで成功した」というのを懸命に伝えようとしているのがわかった。

しかし私はそんなことよりも「家でサイゼリヤのメニュー完コピできるよ!」と言われる方が刺さるので響かず。

また、男はセミナーも開催しているのだと言う。

今しているお金の話は、基本的にセミナーでしています。

こうやってzoomで話すことはほとんどないので、あなたはラッキーですね!

わーい!私、ラッキーガールなんだ!……とはならず、「勧誘の常套句www」と頭の中で草を生やしまくっていた。

男はその後も資産形成や慈善事業などの話を続けたが、私が聞きたいのは仕事の話なので、途中でぶった切った。

「で、私に任せたい仕事というのは?それの詳細が聞けると聞いたのでここに来ているんですけど?」

何が何でも仕事の詳細を話さない男

資産形成の話や自慢話だけで30分くらいは費やした。適当ながらも相槌を打っていた自分に拍手を送りたい。

仕事内容を教えてくれと言うと、やっと「海外の化粧品を広める事業」という回答を得られた。なぜ最初から話さなかったのか。

これでやっと仕事の話を聞けるのか……と安堵したのも束の間、今度は“プラットフォーム”の話を始めるではないか。

プラットフォームとはAmazonや楽天市場などのようなECサイトのことを指す。

マルチ商法や詐欺の勧誘ではよく使うワードなのだろうか。

詐欺 ねずみ講 マルチ商法 副業 ツイッター インスタグラムツイッターに届いた「Amazonの副業紹介」のDMに返事をしてみた

男は結論の見えないプラットフォームの話をダラダラと続けた。私は段々イライラしてきて「いやだから、あなたは具体的にどういう仕事をしているんですか?」と語調が強くなっていく。

「今のこのプラットフォームの話がその話に繋がっていくんですけど~」

あああああ!!!頼むから!!!結論から!!!言え!!!

ざっくり言うと、“あるプラットフォームに人を招待してあげる仕事”らしい。

最初からそう言えばいいものを、何をもったいぶっているのだろう。こんな話し方でセミナーをやって、聴く人がいるというのか……。

また、「海外の化粧品」と言うだけで具体的な社名が出てこないため、こちらから聞いた。すると「あっ、全然教えますよ~」

他人に自分がしてるビジネス広めたいんじゃないのかよ?!一番重要なところだろうが!!……心の声がどんどん荒んでいく。

やっと判明したのが「ニュースキン」という会社だった。

言えるじぇねぇか。言えるじゃねぇかよ。

「ニュースキン」とはどんな会社なのか

「ニュースキン」という社名はここで初めて聞いたのだが、アメリカの結構大きな化粧品会社で、株式上場もしているらしい。

僕の親戚が企業の社長をやっているんですが、アメリカで株式上場するのって本当にすごいことだって言ってた!

どこまでが本当の話なのか不明だが、まぁ、健全な会社だということをアピールしたかったのだろう。

男から野球場に貼り出されたニュースキンの広告や、経済雑誌や美容雑誌に取り上げられたときの写真をたくさん見せられた。「この会社は全然怪しくない!真っ当な会社です!」と言わんばかりに。

広告を出したり雑誌に記事を載せたりするときに、どんなステップがあるのか私は知らない。しかし、金さえ積めばどうにかなるものなのでは?と思っているので、そういう写真を見せられたところで、「ふーん、で?」という感想しか抱けなかった。

マルチな香りがするなぁと思いながら話を聞いていると、向こうからマルチであることを明かしてきた。

その界隈では大変有名な企業らしい。

無知な私でも知っているマルチ商法の会社は「アムウェイ」なのだが、男は「アムウェイとは全然違う!」と力を込めて言っていた。多くの人が「マルチ商法=アムウェイ=なんかヤバそう」と思っていることを理解しているからだろう。

仕事内容は「会員集め」

結局、私に任せたい仕事というのは、こういうものだった。

インスタグラムやブログなどでニュースキンの商品を紹介して、欲しいと言った人を、商品を購入できるサイトに招待してほしいです。

商品を購入できるサイトは招待制で、誰でも会員登録できるわけではない。だから招待してくれる人が必須だとのこと。

招待を受けた人が商品を購入すると、商品価格の5~40%が紹介手数料として私に入る。商品の特性上、使用をやめない限り毎月報酬が支払われる。また、自分が招待した人が他の人を招待して、その人が商品を購入すれば、私にも紹介手数料が入る。

そんな仕組みなので、何もしなくてもどんどん収入が増えていくという話だった。

毎月5万とか10万とか増えたら、絶対生活変わりますよ!

タクシー乗りまくれるし、海外旅行もたくさんできます!

あなたのようにお子さんがいる主婦の方もすごく多いです!

お子さんがいるとお金かかって大変ですよね?

毎月5万円でも収入が増えたら嬉しくないですか?!

そりゃあ金はあるに越したことはない。1万でも2万でも多い方がいい。しかし生活を変えては手元に残るのはゼロかマイナスの付いた通帳だろう。

「子持ち主婦が多い」と言うことで親近感を持たせようとしているのだろうが、見え透きすぎていて笑ってしまった。

ニュースキン主体でも参入者を募集している

ちなみにニュースキンは、会社主体でもネットワークビジネスの参入者を募集している。

ビジネス自体は怪しくないようだ。だからニュースキンに携わっている人たち全員をヤバい人だとは思わない。

ただ、この男はいけ好かない。

まるで教祖の話でも聞いているかのような“人事担当”

さて、ここまで男の話をしてきたが、今度は私にインスタグラムで声をかけてきた“人事担当”という女性の話をしようと思う。

彼女は、苛立ちながら男に質問攻めする私を微笑みながら見守ってくれる、やさしい人だった。

しかし時折、「うわぁ……」と思うような仕草を見せた。これが“引く”ということなのか……!と自分で感心するくらいには引いた。

彼女は、男の話をまるで教祖の話でも聞くかのように聞いているのだ。

想像してみてほしい。微笑みながら男の話を聞き、深くゆっくりと頷く姿を。

「うわぁ……」と思わないだろうか。「うわぁ……」という心の声がダダ漏れになってしまいそうだったので、なるべく彼女の方は見ないようにした。

宗教にハマるのは個人の自由だけれど、私はあまり関わりたくない。

もちろんニュースキンは宗教ではないのだが、この人たちからは宗教に近いような何かを感じてしまった。

「ニュースキンのパートナーシップ」とは

男は会社としてやっているわけではないのに、人事担当なるものをつけて私をネットワークビジネスに勧誘しようとしている。この事実がすべてを物語っているが、あえて聞いてみた。「アンタは一体、ニュースキンの何なのさ?」と。

回し者じゃないですよ!

僕はニュースキンのパートナーシップです。

パートナーシップねぇ。また抽象的な……。

私に入る報酬はニュースキンから支払われる。

ニュースキンのビジネスを広げたいだけなら、“人事担当”の女性とだけ話せばいいのではないだろうか。なぜこの男が話に加わらなければならないのか。

きっと私がこのビジネスを始めれば、男に金が入るのだろう。もちろん、私を引っ張ってきた女にも。

私は男の子分となり、開催したセミナーで参加費を搾り取られるのだろう。

男は「ニュースキンを広めたい」のではなく、「養分が欲しい」だけなのだ。

マルチ商法の勧誘を断るときは毅然とした態度で

当初zoomでの面談は1時間半の予定だったが、子供のお迎えがあったため、1時間話したところで切り上げた。

「残りの話が一番重要だから、日を改めてあと1時間だけ話を聞いてほしい」と言われたが、丁重にお断りした。

1時間半の内容を1時間分済ませたのなら残りは30分のはずなのに、なぜプラス1時間なのか。おかしいと思わないのか。

もう1ミリの興味もないのでこれ以上の話はしなくてもいいと告げた。すると「最後まで話を聞いてから判断してください!」と食い下がってきた。

そして「自分たちも最初は、自分にこの仕事ができるのか不安だったんですけど……」と、私が不安がっていると思ったのか寄り添うようなことを言ってきたが、ただやりたくないだけだと伝えた。

さすがにやりたくない人にまでやらせようとは思わないだろう。

この手の人たちは、少しでも隙を見せようものなら入り込もうとしてくる。マルチ商法の勧誘を断るときは、何があってもブレない心を持とう。そして、正直な考えをぶつけよう。

「マルチ商法=悪徳商法」ではないが……

「マルチ商法は怪しい、悪徳商法だ」と思う人はおそらく多い。

しかしマルチ商法自体は怪しいビジネスではない。もし怪しければ、国によってとっくに潰されているだろう。

では何がマルチ商法の問題なのかと言うと、荒稼ぎしようとする輩がいることだ。そしてそれに伴うしつこい勧誘活動。実際に逮捕者が出るくらいだ。

これではいくら「マルチ商法は怪しくないですよ!」と言われても、世間的には「悪徳商法」と同義になってしまうのも無理がない。

インスタグラムで仕事の話を持ち掛けてくる人は疑ってかかれ

あなたのアカウントのフォロワー数が何千人、何万人というわけでない限り、インスタグラムで仕事の話を持ち掛けてくる人は疑ってかかる方がいい。

今回の私のようにマルチ商法の勧誘のこともあるし、詐欺のこともある。言われたことを鵜呑みにするのは危険だ。

核心に迫る質問を投げかけてみて、曖昧な回答しか得られない場合はスルーしよう。

私は今回あえて話に乗ったわけだが、友達がこの話を聞いて大笑いしてくれたので、ある意味では声をかけてくれたことに感謝している。